諸説ありますが、始まりは江戸時代。蘭学者・平賀源内が夏場の売り上げ不振に悩むうなぎ屋に相談され、店頭に「本日土用丑の日」と記して、この日にうなぎを食べると長寿・延命になると宣伝したところ大繁盛し、それが広まったというのが一般的です。土用とは立春・立夏・立秋・立冬前の約18日間のことで、その中の丑の日が「土用の丑の日」。年4回ある土用のなかでとくに真夏の立秋前の土用が有名なのは、この土用うなぎの風習が定着したからといわれています。今夏は土用期間(7月19日〜8月6日)に丑の日が2回巡ってくる当たり年。一の丑が7月24日、二の丑が8月5日です。
良質のたんぱく源であるうなぎは、頭の働きを良くするといわれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やビタミン類が豊富。とくに成長促進や視力を正常に保つ働きのあるビタミンAは、一般の魚の約50倍。抗酸化作用があり老化防止に効果的なビタミンE、汗をかく夏に不足しがちで、不足するとダルさや疲れを感じやすくなるビタミンB1も多く含まれています。また、脂肪が気になるという人もご安心を。うなぎの脂の成分には悪玉コレステロールを抑制するといわれる「不飽和脂肪酸」が多く、カロリーも意外に低いことが知られています。
水温が下がり、産卵に備えて栄養を蓄えた初秋〜初冬頃がおいしいといわれますが、それは天然うなぎの場合。現在日本で食べられているうなぎはほとんどが養殖ものですので、旬は新物が出回る6〜7月頃といえるでしょう。養殖うなぎはもっとも消費が多い「土用の丑の日」を中心とした夏場においしく出荷できるように育てられているのです。ちなみに俳句の世界でも、「うなぎ」は夏の季語とされています。
大きな違いはそのさばき方。関西は商人文化が強かったので、“腹を割って話す”のが好まれて「腹開き」、関東は武家社会だったので、切腹を連想させる「腹開き」を敬遠し「背開き」になったといわれています。「腹開き」して蒸さずに焼く関西風の蒲焼は肉に弾力があり、皮がパリッと香ばしいのが特徴。一方、「背開き」して一度素焼きした後にじっくり蒸し、タレをつけながら再び焼く関東風は、蒸すことで余分な脂が抜けるので、淡白で皮まで柔らかいのが特徴です。